肩関節疾患と脊柱可動性

健康情報

こんにちは。

 

 

今日は肩関節疾患と脊柱可動性の関係についてお伝えしていきます。

 

 

 

クリニックで勤務していると「肩が痛い」という患者様が多く来院されます。

 

 

 

医師から診断され必要に応じてリハビリテーションが開始となります。

 

 

画像所見やエコー検査により

「肩関節周囲炎」

「上腕二頭筋腱炎」

「腱板断裂」

「頚椎症性神経根症」

「頚椎椎間板ヘルニア」

などといった病名がつきます。

 

病名が決まることで安心される方もいれば

病名が決まることで心配になる方もいらっしゃいます。

 

病名が決まることのメリットとして「安心感」もありますが

デメリットとして「他の部位に目がいきにくくなる」ということが挙げられます。

 

つまり肩関節の病名が付くと「肩が悪いんだ」と

思い込んでしまうということです。

 

しかし、肩関節疾患の患者様のお身体を拝見させていただくと

だいたい共通して当てはまることがあります。

 

 

それは

 

 

 

 

身体の中心(脊柱や胸郭)の可動性が乏しい

 

ということです。

 

 

特に胸椎の屈曲・伸展の可動域が乏しい方は多いです。

 

 

なぜ肩の運動なのに背骨の動きが関係するのか?

 

 

これを説明するためには

「身体が楽チンを選び続ける」という事実と

そのために「慣性力」を上手く利用している

ということを理解する必要があります。

 

 

「身体が楽チンを選び続ける」ということについてですが

これは体感で感じていただくのが一番いいと思います。

 

例えば「筋力トレーニング」と「歩行」の比較です。

 

左図の膝を伸ばす運動を1分行うのと

右図の「歩く」という運動を5分行うのでは

どちらが疲れるでしょうか?

 

ほとんどの方は膝を伸ばす運動を1分する方が疲れるとお答えになると思います。

 

なぜなのでしょうか?

 

 

我々は歩行などの基本動作において、なるべく筋力を使わなくても済むように

「腱の弾性」「慣性力」といった力を上手く利用しているのです。

 

意外にもこれは肩の運動にも当てはまるのです。

 

まず、みなさんに3種類の条件で肩の挙上運動を30回ずつしていただきます。

 

 

その条件とは・・・

 

 

①脱力し背中を丸くした状態でバンザイ

②胸を張った状態でバンザイ

③背中を丸くした状態→胸を張った状態を繰り返しながらバンザイ

(胸を張るタイミングでバンザイするイメージで)

 

 

 

どれが一番楽でしたか?

 

 

 

おそらく③と答えられる方が多いのではないでしょうか?

すでに背骨の動きが悪くなっておられる方はどれも変わらないという結果に

なるかもしれません。

 

なぜ③が一番楽なのか?

これには「慣性力」が関係します。

 

物理学の復習です。

「慣性力」とは加速度とは逆向きに働く見かけ上の力のことを言います。

加速度とは単位時間当たりの速度変化のことを指します。

つまり短い時間で速度が大きく変化すると

加速度が大きい=慣性力が大きい

ということになります。

 

 

よくある例として電車の急停車や急発進が挙げられます

この図では左向きに進行している電車が急停車をしています。

この状態において急激に減速するということは

右向きに大きな加速度が生じることになります。

ですので、人の身体は「慣性力」によって電車の進行方向に

引っ張られるのです。

 

 

これをバンザイに当てはめてみましょう。

少し極端ですが

左の猫背の図から右の背筋を伸ばした図に変化するということは

重心位置は前上方に偏位していくことになります。

そして背筋がまっすぐになり動きが止まった瞬間に

後下方への加速度が生じるため前上方への慣性力によって

バンザイの方向に腕が勝手に動くということになります。

この慣性力を上手く利用すればほとんど筋力を使わなくてもバンザイすることが

できます。

 

 

腕を使うことが多く、それにより肩を痛められている方は

背骨を動かす練習をすることは非常に重要です。

 

肩の痛みがなかなか治らない方はぜひ背骨のエクササイズをお試しください。

CAT &DOGや体幹バウンディングなどがオススメです☆

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